2011年10月9日日曜日

Big society, not big government


中長期的に私達が取り組むべきissuesを取り上げるのはどうだろうか?


私たちの集まりを次のステップへと進めていくには、どんなことをしたら良いだろうか? 英国の政治家の話が参考になった。マーガレット・サッチャーは「小さな政府」構想を実現するため、自身が政権を担うずっと前より「小さな政府」に関する勉強会を続けていたそうだ。それが、彼女が首相として政策を矢継ぎ早に実現していくときに大変役に立っている。何事も大きなことを実現するためには、それなりの準備と時間がかかることを肝に銘じておくべきだ。今回は、一つのアイデアを提示したい。




(1)中長期的に私達が取り組むべきissuesを取り上げるのはどうだろうか?


理由
1)The Economistが取り上げる話題は単発的ではなく、時間をかけていくつかの話題を追っている姿勢が感じられるため、各々の記事を関連させて読み進めるべきである。


2)私達の勉強会でも、過去に取り上げたことのある話題が何度もディスカッション・トピックとして登場しており、一度整理してみたい。


3)今私達が取り組むべきは、世相を捕まえ世間の流行を追うことではなく、世界経済を低迷させ社会の安定を揺るがす構造的課題、中長期的に時間をかけて取り組むべき課題と向き合うことである。


4)私達が取り組むべき課題は、同世代に共通しており、産業横断的であり、かつ官民を問わない。勉強会の参加者は、高いモチベーションを持った20代を中心に、産業や官民を問わず集まっており、勉強会の趣旨からしてもこうした課題を取り上げるのにふさわしい場である。


(2)いかなるissueを取り上げるべきか?

「財政再建」=「人口減少社会の克服」
「経済成長」=「新産業、リーディング・カンパニーの育成」

「財政再建と経済成長の両立」→「大きな社会(the Big Society)の実現」

ソブリン・リスクが世界を震撼させている。財政の健全化は、今や先進国共通の課題となった。欧州はギリシャのデフォルト危機をはじめとする国家債務問題が共通通貨ユーロの行く末を暗くしている。米国債も同じくデフォルト寸前まで陥り格下げとなった。日本は世界第1位の国家債務残高を抱え、ますます進む高齢化と社会保障費の増大、動かない政治とリーダーシップの不在が先行きを不透明にしている。


抜本的なリストラクチャリングをもってしなければ、ソブリン・リスクはいつまでたっても私たちの生活を脅かし続ける。その目標や方策は各国によってそれぞれ異なるが、単なる数合わせの議論に終始するのではなく、より本質的な議論をすることが求められている。グローバル化が進展し、国家を超えた主体がテロリストとして人々の生活を脅かし、一方でグローバル企業が地球規模での事業展開を加速させ人々の生活を豊かにする中で、国家の位置づけが改めて問い直されている。私たちは国家にいかなる役割を期待し、また期待しないのかを議論することこそ財政健全化の第一歩である。


財政再建という課題を背負った先進国が、同様に頭を悩ませているのが経済成長の実現である。人口が頭打ちとなり社会が成熟期を迎える中、いかにして新産業を育成し、次世代を牽引するリーディング・カンパニーを輩出するか。社会の新陳代謝を促して活気をもたらし、人々が健康で文化的な生活を送ることができるよう雇用を生むことが経済成長の主眼であろう。経済成長を実現し、明日の社会を形作っていくのは私たちの世代の責務である。


英国で2010年政権の座に就いたキャメロン首相率いる保守党の「大きな社会」構想は、上記の課題と向き合い、次の社会を見つめる上で参考になるだろう。

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