2014年1月27日月曜日

7-4 Time to think more about Sarajevo, less about Munich from FT



Time to think more about Sarajevo, less about Munich 
from FT By Gideon Rachman


【京都】開催報告
1/27 7:00-8:00 3

ダボス会議での首相発言が話題を呼んだこともあり、改めて取り上げてみました。記事の内容は説得力のあるものですが、それでも尚、ことに日中関係となると首相の強硬姿勢が一定の支持を受けているのは事実です。「サラエボの教訓」に学び自国のナショナリズムを抑えるか、「ミュンヘンの教訓」に学び台頭する中国を強硬姿勢で牽制するか、必ずしも相反する教訓ではないですが、現在の冷えきった日中関係を鑑みれば、自制心をもち冷静にことに取り組むべきで「サラエボの教訓」から得ることの方が大きいと感じます。


記事の内容は友人の村上君が簡潔にまとめてくれているので共有しておきます。

----転載----
百年前の英国を今日の米国に、ドイツを中国に、フランスを日本に置き換えている点はEconomistと同様ですが、特徴的なのはWWIのサラエボ事件とWWIIのミュンヘン会談という各戦争につながった外交危機から得られる教訓を対比している点です(記事のタイトルは「Time to think more about Sarajevo, less about Munich」)。

“WWIサラエボの教訓”…各国が戦争回避のために本気で知力を尽くさなかったために戦争に流されてしまった(→一歩引き下がる勇気を持って、戦争回避のための冷静な行動をとるべき)
“WWIIミュンヘンの教訓”…ドイツの伸張に対し強硬姿勢を取らなかったために後に大きな戦いに発展してしまった(→対抗勢力対しては武力行使を含む強硬姿勢で臨み、封じ込めを図るべき)

“サラエボの教訓”はキューバ危機で活かされた。一方、“ミュンヘンの教訓”はスエズ危機やベトナム戦争、イラク戦争での武力行使の理由付けに利用されたがいずれも失敗に終わった、と指摘しています。

今日の中国と周辺諸国間での緊張の高まりに対して、各国は“ミュンヘンの教訓”をもって対応しようとしているように見えるが、ここは“サラエボの教訓”で対処すべき局面。弱さを見せまいと頑なな態度をとるばかりではなく、勇気を持って衝突を避ける姿勢を持たなければ、フランス・ロシアとの同盟関係ゆえに大戦に引きずり込まれた英国と同様に、米国も日本との同盟関係のために戦禍に巻き込まれかねない、と記事は警鐘を鳴らしています。
----転載終----

この節目の年に100年の現代史を振り返るのは面白いと思います。100年というタイムスパンは絶妙です。100年前の出来事を肌で知っている人はこの地球上にほぼいません。あと10年もすれば、地球上に誰もいなくなります。あっという間に人類の記憶からは亡くなってしまうのです。100年の節目というのはその出来事を身近なものとして真剣に振り返る最後の機会であるかもしれません。この機会を大切にしたいと思います。

2014年1月20日月曜日

7-3 Of bongs and bureaucrats


Of bongs and bureaucrats
from Jan. 11th 2014 edition 

【京都】開催報告
1/20 7:00-8:00 3

記事の背景
The first recreational marijuana shops opened in Colorado on January 1st without any troubles.
The Economist has opposed drug prohibition since 1993. It argues that Marijuana should be legalized, taxed and regulated.

記事の主張
The economist’s position of drug legalization is going to be accepted. So how the government should regulate and tax marijuana is at issue. Too little research has been done on the extent of harm it can do but the information is important to set level of tax rate. Although there are some issues on regulation and taxation, legal marijuana will do less harm than prohibition.

私の意見
This argument sounds too liberal for me. This opinion turns to be reasonable only if marijuana is less harmful than alcohol and tobacco. When we compare these, we should compare not only influences on our body but also social order or virtue.




2014年1月14日火曜日

7-2 The new drugs war




【京都】1/14 7:00-8:00 2名 
Pharmaceutical pricing
The new drugs war
Patents on drugs are in the interests of the sick as well as the industry. Protection should not be weakened
 | From the print edition


こちらの記事を取り上げましたので簡単ですが共有します。



議論の前提と問題提起:製薬業界は公衆衛生や人権の問題に関わるため、つねに議論を巻き起こす。特に批判の的となってきたのは知的財産権の問題であり、かつて南アフリカでは政府によりHIV対策として安価なコピー医薬品の輸入が合法化された。昨今、最も議論が高まっているのはTPPにおいてであり、製薬会社の持つ知的財産権を尊重し、政府が伝染病対策のため特許を無視した医薬品を認可するような動きを制限すべきかどうかである。

The Economistの主張のポイント:新興国における医薬品の位置づけはHIV等の緊急を要する伝染病対策から先進国にも共通するがんや糖尿病、慢性疾患対策に変わりつつある。そうした状況を踏まえ、医薬品の知的財産権に関する貿易協定において、特許権は今後より強化されるべきだ。

今回の議論のポイント:
【価格の問題】特許権を強化しても、価格が高すぎるため医薬品を必要とする貧しい人々が買えない現状は打開されないのではないか 製薬会社の段階的価格設定はあくまで自助努力的なものにすぎず期待しすぎてはいけないのではないか

【医薬品の位置づけの変化】がんや糖尿病、慢性疾患対策にも、HIV対策と同様の論理は本当に適用できないのか

コメント:政府は知的財産に関する法制度や市場の秩序を乱すべきでないと考えるThe Economistの主張には共感を覚えつつも、私企業にすぎない製薬会社に社会の公器として期待が寄せられているのは事実であり、特許権を強化する一方で、製薬会社に社会的責任を果たすべく促すようなインセンティブを強化することもまた必要だと考えました。

2014年1月5日日曜日

7-1 The Economist's country of the year: Earth's got talent


■先週の振り返りと感想
The Economist's country of the year: Earth's got talent
British immigration: You're welcome
The first world war: Look back with angst
South Africa after Mandela: A question of leadership


先週は参加8人、扱う記事4本と久しぶりに大きな会となりました。すべての記事は難しいので自分が選んだ記事の感想と総括を共有します。

私が選んだ記事は”Earth’s got talent” スーザンボイルを世に出したTV番組”Britain’s got talent”をもじったタイトルで、The Economistが選ぶ「The country of the year」と年末恒例の「今年の〜」の国家版を決めようというユニークな記事でした。みなさんは「今年の国」を選ぶとしたらと聞かれたらどう答えますか? 記事はいくつかの選ぶ基準や候補となる国名に言及しながら、最終的に「ウルグアイ」を選びます。なぜウルグアイなのか、すぐにその理由が思いつく人は少ないでしょう。むしろそもそもウルグアイがどこにあるのかすらも不確かなのが実情だと思います。The Economistもそのあたりのことはわきまえていて、結論を後回しにする書きぶりからは、あえてサプライズを狙って選んだように感じられます。

ではなぜウルグアイなのでしょうか?The Economistはその受賞理由を「単に一つの国を良くしただけでなく、他国も見習えば世界中に利益をもたらすようなpath breaking reformを成し遂げたから」としています。そうした「道を切り開く改革」の具体例としては、同性婚容認や麻薬合法化の法律制定を挙げています。当日の議論では、この選定と受賞理由に賛同できるかで様々な意見が交わされました。The Economistはリベラル寄りであるからこうした改革を賞賛しさらに改革を広めようとしている意図が感じられるであるとか、確かに同性婚や麻薬合法化はリベラル寄りの政策であるがpath-breaking reformはそうした政策に限らず日本で言えば医療や農業などの岩盤規制改革なども当てはまるのではないかという意見もありました。

最後に各参加者の「The country of the year」を共有しました。中国が3人と最多で、ロシア、シリア、日本、ブラジル、ミャンマーが各1名といった結果でした。2014年は果たしてどの国が選ぶか、楽しみです。

The Economistが面白いのは、麻薬合法化のような「議論の余地があり」かつ「普遍性のある」トピックを積極的に取り上げ、自らも意見を述べるところにあります。その姿勢からは自らの記事によって、世界中のリーダーを動かそうとする気概が感じられます。 その他の記事も「英国の移民政策」「世界第一次大戦を振り返る」「ネルソン・マンデラと南アのリーダーシップ」といったそれだけで数時間議論できそうな重い内容でした。題材や素材となるニュースは違えど、通底するテーマは同じなので、重いテーマだからといって避けることなく一つ一つ向き合って生きたいと思います。